2011.7.23 三ツ星キッチン「LOVE」

3月11日。日本は大きな地震災害に見舞われた。
その被害は甚大で、今もなお被災地では元の生活に戻ることができない人たちが
多くいる。
あの震災で、突然身近な人がいなくなり、
そして、悲しみにくれている人はどのくらいいるのだろう…。

幸い自分は、ひどい被害のあった東北に住んでいるとはいえ、太平洋側ではなく
ほぼ無傷な日本海側でのほほーんと暮らしている。
出身は被災地である、宮城だけれど…実家は無事だった。


さて、本題のLOVEの話。
観終わって最初に思ったのは、ここにこうしていられ、
芝居を楽しめる環境にいることに感謝しなければ…ということだった。

今回の話は、今までとは全く違い、むしろ「重い」部類に入るのだと思う。
始まりが自動車(いや、自転車か)事故から天国の入口という設定。
案内人というが、久々セリフが多かった恒さん。
歌も歌って、田原俊彦の哀愁デイトばりのダンス?も披露。
「重い」部類の話だけれど、笑いも忘れないのが三ツ星キッチンというところでしょうか。

主人公フジタさんを演じるのは、三ツ星レギュラーになりつつある見上げたボーイズの川本さん。
そして、「白い仲間たち」の
けんさん(俊さん)、りゅういち(大ちゃん)、オサム(SINGOさん)、カゲさん(啓二くん)
彼らはすでに亡くなっていて、今生きている愛する人たちに伝えたいことがあると
さまよっていた。
そんな彼らに戸惑いながら自分も亡くなった人間だと自覚していくフジタさん。

大学受験を控えた娘とパートしかしたことがない妻を残し、
そして、自分が死んだ原因の誤解を解くために仲間たちとさまよう。
彼らの姿は誰にも見えず、声も聞こえず、彼らは誰にも触れることもできないから…。

しかし、そこで出てくるある人物。
あのキャラ!!!!警備員のバイトをしている高田安男さん。
「安い男と書いて、決して安くはない男…」安男さん。
ひょんなきっかけで、高田さんが彼ら「白い仲間たち」と、残された人たちの仲介人となり、愛する人を亡くし悲しみにくれている友人や、恋人、家族とを引き合わせる。

高田さんと彼らが出会って、自己紹介をするときに…伏線があって、
カゲさんの声だけが安男さんには聞こえない…ということ。
彼は、俊さん演じるケンを殺していて、ケンの恋人だったカゲさんの姉に殺されていたということが、ケンが愛する人に言葉を伝えに来た時にわかる…。
その場面でのやりとり、気迫、狂気は今まで”いい人”役が多かった啓二くんの新しい一面を見たような気がした。

話を内容に戻そう…。
最初に愛する人に会えたのはオサム。実は前作「home」も続きだったりする。
前作の舞台福島に、自殺を考えてやってきたシンガーソングライターユタカ(初芝さん)
それを止めたのがたまたまそこで養豚のバイトをしていた安男さんやその村の人。
そのユタカの相棒でデュエットを組んでいたのが、突然、亡くなったオサム。
ユタカが自殺をしようと思ったのは、オサムが亡くなり、自信喪失、失意の底から
逃げようとしていたから。そのことをオサムは知っていた。
だからこそ、安男さんも愛する人たちへの伝言を伝えるために協力をし始めることになる。

オサムとユタカを引き合わせ、
次は、ユタカといっしょにリュウイチの家へ行く安男さん。
リュウイチは戦場カメラマンとして、戦地で子供の持った銃で撃たれ亡くなった。
ただひとりの息子を亡くし飲んだくれる父親(すーさん)
リュウイチはこの父親に本当のことを伝えに来たかったという。
撃たれたのではなくて、暴発したのだと。
そして、その子はもう銃を持っていないと…。

ここは泣いた〜。
大ちゃん、どんどん上手くなってる…。←上から目線でごめんね。

そして、ケンさんと、カゲさんと、ケンの恋人(青島凛さん)との
心の闇と、複雑な事情…
内容はさっき少し書いたので割愛。
…カゲさんことノリオは…業火の中へ。
ここの場面の啓二くんは凄まじかったです。
ケンさんと本気でぶつかり合い、愛に飢えたセリフ、表情、オーラ。
切ない最期でした。

二人が精神に入ってきたことで、安男さんの体力は限界…だけれど、
彼は最後まで愛を伝えに行きます。
最後は、フジタさんの妻と娘へ。
妻役は、三ツ星レギュラーのたむらもとこさん。
川本さんともとこさんのデュエットはもう、すごくよかったです。
泣きました。
もとこさんも泣きながら歌っていて、涙声でした。
娘役には元AKBだという増山さん。可愛い子でしたね。
歌も上手い方だと思うし、堂々としてました。
磨けばもっといい女優さんになるんじゃないだろうか…と思ったんですけどね。
この作品を最後に休業するそうです。
もし、復帰するときは三ツ星からで…ってのはどうかな。なんてね。

LOVE…三ツ星作品の中ではかなりの上位ですね。

ただ、残念だったのは…パンフに役名が記載されてなかったことカナ。