初めての東京観劇(3)

エリザベート…黄泉の国への誘い=
劇場内は、女性ばかりがウジャウジャといた…。
人ごみに酔いそうだ。
劇場内は、モダンな造り…普段着で来てもいいとは言うけれど、
さすがにジャージや、ヒップホップ系の格好では入れなさそうなに見えた。
年配の方も、おしゃれにしている。
大きな荷物を持った年配者を見かけた。
どうも、頑張っておしゃれしているんだけど、垢抜けていないのは地方者だなと
感じた(笑)

パンフを購入。
今は、パンフって言わないんだっけ。
プログラムという。
1600円(袋つき)…高いな。でも、カラー刷りで、結構厚い。
人ごみを避けて、2階へ。
とりあえず、トイレへ。
長蛇の列。
開演に間に合うのだろうか???

トイレから出てくるころ、鐘の音が…
急いで場内へ入る。席は、分かりやすい。席の区切りの1番後ろの1番端。
間に合った。
呼吸が整わないうちに、真っ暗なステージの方から何やら声が聞こえていた。

あれ、あれ???
と思っているうちに、ステージ上の箱の中からたくさんの人が出てきて歌っている。

すごい…これが、商業演劇なんだ…そう思った瞬間だった。
舞台上の役者の人数、衣装、照明、音響、セット、
曲はオーケストラの演奏で…何もかもが今まで観た舞台が結構、ショボく思えた。
これじゃぁ、チケット代も高いなぁと。
この芝居は、台詞のほとんど全てが「歌」になっているミュージカル。
ミュージカルは何度か観ているのだけど、こういう形式のは初めて。
芝居に関する感想よりも、それ以外のことが頭の中を巡っていた。

あ…あの兄さん、あの人たちだったんだ…
余計な感想?
地下で入り待ちの人に囲まれてたと思われる若い役者さんが踊っている。
なるほどなるほど。
そんな芝居以外の感想を抱いていたワタシを覚醒させたのが…
主役、エリザベートを愛してしまう、黄泉の帝王トートの歌声だった。

どこからか低音の甘い声が聴こえてきた…
ゴンドラ???
(ちょっと笑った(^^; 友達の結婚式を思い出す)
でも、そんなアホなことはすぐに吹っ飛んだ。

何だ、何だ、この存在感。
いや、その前に、第一声で背筋がゾクゾクしていた。
誘われる…そう、ワタシならとっとと黄泉に付いていくよぉ〜。
歌も上手い、歌の上手い人ならいくらでもいる。
声もいい…いや、それより、この「トート」という存在をすごく妖しく演じるこの人が
Wさん、Iさんの大好きな山口祐一郎さんだった。
やられた…!

そう思いつつも、舞台上では話が進んでいく。
すっかり引き込まれている。
歌詞で台詞が綴られているということもある。
真剣に聴いていかないと、何を言っているのかわからないし…(^^;

ただちょっと残念に思ったのは
トートは主要な場面にしか出てこないのに…
トートが一言、一曲歌い終えるたびに大拍手が起きる。
山口祐一郎ライブかよ!…という感じがした。
分かる気もするけれど、やっぱ、どこかで「芝居」を楽しみにして来たということが
離れられず、その拍手で芝居の間が空くのがちょっと残念だったり。
楽日じゃなければ、違ったのかなぁ???

それにしても、彼にマイクはいらない…
針振り切っていると思われるぞ。
あの発声はどこから出しているんだろう。
芝居をやる身として、とてもうらやましく、そして、憧れてしまった。

芝居は進む…。
30分の休憩。

何度も観ている人なのだろうか、
休憩のアナウンスが始まる前には席を立っている。
トイレはまた長蛇の列だ。
でも、女性ばかりなので、2階のトイレは女性に開放されていた。
ステキな配慮だ。
ロビーはたくさんの女性たちが、おのおの軽く食事をしたり、
お茶を飲んだり・・
中ではこんな会話をしている人がいる。
「昨日来た?」「昨日はチケ取れなかったんだけど、一昨日は来たよ」
「今日の山口さんスゴイね〜、この前は調子悪かったみたいだけど」

…いわゆるリピーターと言われる人たちだ。
「昨日、来た?」って。
きっと、都内の人なんだろうなぁ。
それにしても、よくそんなにチケットを取れるもんだ。
定額だって安くはないし…。
そう思う一方で、かなりうらやましく思ったりして。

小腹が空いたので、チュリトスというロングドーナツとお茶を購入。
話のネタに…(笑)

さて、第二幕の始まり。
ニ幕が始まる前に、プログラムで軽く内容を確認する。
舞台の内容というより、
エリザベート」という人を知りたかった。
プログラムの後ろの方に家系図や、史実が描いてある。
そして、息子のルドルフについても読んでみた。
それが、ニ幕を観るにあたって役に立った。
なるほど…
そして、トートの役割も。

Wさん、Iさんの影響もあるのかもしてないけれど、
山口さんに注目してしまっていた。
色んな場所から登場してくる。
それも、何の足音なく出てくるもんだから驚いてしまう。
というか、
この芝居、場面展開が多いのに、セットがはける音もしない。
この舞台はどうなっているんだろう???
そんな事も考えていたりして。
読んだことはないだけど、マンガ「悪魔の花嫁」というタイトルを
思い出したり。

今まで、コンサートなどで2階や3階席であっても、
オペラグラスは使ったことがなかった。
そう、大好きな競馬のレースを見るのでさえも、
しかし、今回298円のオペラグラスを買って持って行ったのが
多いに役に立った。
全体を見つつ、個人を見つつ…。

カーテンコール。
この楽日の、トート役山口さん、エリザベートの夫フランツヨーゼフ役の石川禅さん、
そして、少年ルドルフ役の塩野魁土くんの挨拶もあり、
和気あいあいとした雰囲気で幕が閉じた。
山口さん…トートの格好で塩野くん口調って…。
多少壊れたところもあるとは噂では聞いていたけど。
あのギャップがすごすぎ…。
ギャップ…うーん、山口さん、ちょっと踊りにもギャップが(笑)
ファンの間ではタブーのようです。

テレビで活躍もしている、高島兄の扮する進行役であり、
エリザベート暗殺者のルキーニもよかったなぁ。
なかなか歌も上手い。
そうか…母親は宝塚出身だ。

ボーッとしたまま、会場を後にした。
まだ、甘い声が…耳に。
かなりの衝撃だったようだ。

とりあえず、外へ出る。
「森光子」前(笑)
帝国劇場、次回公演「ツキコの月、そして、タンゴ」のポスター前のことだ。
続々と観客が出てくる。
そして、ある方向へと歩いていく。

ポスター前に最初についたのは、Wさんのネット友Kさん。
そして、Iさん、Wさん。
「さて、出待ちするよぉ〜」
張り切っているWさん。
そう、同じ方向に歩いていく女性達は、「出待ち」の人たち。
帝国劇場の前の道路は、一方通行。
ということは、駐車場から出てくる役者さんを歩道から見れるわけだ。
歩道には、すでにズラーーーっと人が。
お目当ては祐さんなのだろう(…すでに馴れ馴れしく書いてますが(笑))

しばらく、ボーーーッと行き交う車を眺める。
駐車場から、後ろの窓にスモークをかけた車が何台か出てきている。
「キャーーー」
駐車場出入り口付近で、朝聞いたような黄色い声が聞こえた。
「あ・・・あの車、みたい」
運転席の窓から何やらウチワのようなものを振って走っていく車がある。
「祐さんらしいよぉ〜」「きゃぁーーー」
追っかけていく人もいる。
ウチワには何かが書いてあった。
Iさんがいうには「ありがとう」と書いてあったらしい。
…。
こりゃ、ファンがつくわ…納得したりして。

こうして、帝国劇場「エリザベート」観劇は終わった。

東宝ミュージカル エリザベート
2005.9.29(木) 13:00
帝国劇場 A席2階H列58番